第18条 緊急措置
1 一方の締約国は、第十四条に規定する関税上の特恵待遇を与えられる他方の締約国の原産品が同条に基づき当該原産品の関税を引き下げ又は撤廃した結果として絶対量において増加した数量で自国の領域に輸入されている場合において、当該増加した数量が自国の国内産業に対する重大な損害又は重大な損害のおそれを引き起こす重要な原因となっているときは、この条の規定に従うことを条件として、経過期間中に限り、当該損害を防止し又は救済し及び調整を容易にするために最小限必要な範囲において、次のいずれ
かの措置をとることができる。
(a) この章の規定に基づく関税の段階的な引下げの対象となる当該原産品の関税の更なる引下げを停止すること。
(b) 次の税率のうちいずれか低い方を超えない水準まで当該原産品の関税を引き上げること。
(i) 措置をとる時点における実行最恵国税率
(ii) この協定の効力発生の日の前日における実行最恵国税率
2 締約国は、世界貿易機関設立協定附属書一Aセーフガードに関する協定(以下「セーフガード協定」という。)第三条及び第四条2に規定する手続の例により、自国の権限のある当局が調査を行った後においてのみ1に規定する措置をとることができる。ただし、この調査は、いかなる場合であっても、その開始の日の後一年以内に完了するものとする。
3 次の条件及び制限は、1に規定する措置をとる場合に適用する。
(a) 締約国は、次の場合には、他方の締約国に対し直ちに書面による通報を行う。
(i) 重大な損害又は重大な損害のおそれ及びこれらの理由に関する調査を開始する場合
(ii) 輸入の増加により引き起こされた重大な損害又は重大な損害のおそれの認定を行う場合
(iii) 当該措置をとる決定を行う場合
(b) (a)の通報を行うに当たり、当該措置をとろうとする締約国は、すべての関連する情報を他方の締約国に提供する。この情報には、輸入の増加により引き起こされた重大な損害又は重大な損害のおそれの証拠、対象となる産品及びとろうとする当該措置の正確な説明、当該措置を導入しようとする期日並びに予定適用期間を含むものとする。
(c) 当該措置をとろうとする締約国は、調査から得られる情報を検討し、当該措置に関し意見を交換し及び4に規定する補償について合意に達するため、他方の締約国と事前の協議を行うための十分な機会を確保する。両締約国は、この協議を行う場合には、次の事項について決定するため、特に、(b)の規定に基づいて提供される情報を検討する。
(i) 当該措置がこの条の規定に適合しているかどうか。
(ii) 当該措置がとられるべきであるかどうか。
(iii) 当該措置が両締約国間の貿易に不必要な障害をもたらすかどうか。
(d) 当該措置は、重大な損害を防止し又は救済し及び調整を容易にするために必要な限度及び期間を超えて維持されてはならず、また、その適用期間は、一年を超えてはならない。ただし、極めて例外的な状況においては、(c)に規定する協議を行うことを条件として措置の適用期間を最長3年とすることができるものとし、この場合において、当該措置をとる締約国は、他方の締約国に対し当該措置を漸進的に撤廃する計画を提示する。
(e) 当該措置が適用された他方の締約国の原産品の輸入については、1に規定する措置を再度とってはならない。
(f) 当該措置の適用期間の終了後における関税率は、当該措置がとられなかったとしたならば適用したであろう税率とする。
4 1に規定する措置をとろうとする締約国は、他方の締約国に対し、当該措置の結果生ずると予想される関税の増大分と実質的に等価値の対応を関税について講ずることを約束することにより、相互に合意される貿易上の補償の適切な方法を提供する。両締約国が、3(c)に規定する協議において30日以内に補償について合意することができない場合には、当該他方の締約国は、この協定に基づく関税に関する約束であって、当該措置と実質的に等価値のものの適用を停止することができる。この4の規定により約束の適用
を停止する権利を有する締約国は、実質的に同等の効果を達成するために最小限必要な期間に限り、これを行使することができるものとする。
5 1994年のガット第19条及びセーフガード協定に適合しない場合を除くほか、この章のいかなる規定も、締約国が輸入産品(他方の締約国からのものを含む。)に対し、その輸入源のいかんを問わずセーフガード措置をとることを妨げるものではない。
6 各締約国は、1に規定する措置の手続に関する法令その他の定めが、一貫した、公平な、かつ、合理的なものであることを確保する。
7 各締約国は、1に規定する措置に係る行政上の措置を速やかに審査するため、自国の法令の範囲内で司法裁判所又はその訴訟手続を維持する。当該司法裁判所又は訴訟手続は、1に規定する措置の決定について責任を有する当局から独立したものとする。
8 各締約国は、1に規定する措置について、公平な、時宜を得た、透明性のある、かつ、効果的な手続によりこれを実施し、又は維持する。

